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2026.10.06

売上高が3カ月連続で前年同月比2倍以上に!創業約40年のYESIANG、再生型フィルターで半導体業界のビジネスモデルを革新――大手半導体メーカーに選ばれる理由とは?

YESIANG 広報担当・シニアマネージャー 蔡呈佑


AIの計算処理能力に対する需要が世界的に急拡大する中、半導体の先端プロセスにおける生産能力の増強が加速している。 


半導体製造環境における微量汚染物質の制御技術を約40年にわたり培ってきたYESIANG(鈺祥企業)は、台湾国内での製造体制、顧客ニーズに応じた独自の材料配合技術、そしてフィルター再生技術を強みに、先端半導体サプライチェーンにおいて確固たる地位を築いている。 


現在、同社は業界に先駆けてフィルターのサブスクリプション型サービスを展開するとともに、液体用フィルター、半導体製造装置向けフィルター、設備関連エンジニアリングサービスへと事業領域を拡大。複数の成長エンジンを構築しながら、主要顧客の海外展開に歩調を合わせ、次なる成長ステージへと進んでいる。



AIと先端プロセスの需要拡大を背景に、ケミカルフィルター市場が急成長


AI技術の進展に伴い、計算処理能力や高性能半導体への需要が急増し、世界の大手半導体メーカーは新工場の建設を加速させている。その需要は先端プロセスのみならず、先端パッケージング分野にも広がっている。 


半導体の歩留まりや製造プロセスの安定性に対する要求が一段と厳しくなる中、各製造拠点では高性能ケミカルフィルターの導入が進み、市場需要が急速に拡大している。YESIANGの生産ラインも現在、需要が供給能力を上回る状況となっている。


先端プロセス需要の拡大、再生型フィルターによる高付加価値ビジネスモデル、新規事業および海外市場への展開を通じ、YESIANGはグローバルな半導体環境制御ソリューションプロバイダーへの進化を目指している。


YESIANGの広報担当であるシニアマネージャーの蔡呈佑は、「半導体プロセスの微細化が進むほど、空気中の汚染物質濃度に対する許容範囲は厳しくなり、ケミカルフィルターの使用量と交換頻度も増加する」と説明する。 


製造プロセスが2nm以下へと進む場合、工場1拠点当たりのフィルター使用量は従来の1.5~2倍に増加すると見込まれる。また、7nm世代では約6カ月に1回だった交換周期が、約2週間に1回へと大幅に短縮され、需要の飛躍的な拡大につながるという。 


さらに重要なのは、新工場の建設によって生まれるビジネス機会が、一時的なものにとどまらない点である。 


新工場では初年度に使い捨て型フィルターを導入した後、翌年からは利益率の高い再生型フィルターへ全面的に切り替える計画となっている。そのため、工場建設時の初期需要に加え、稼働開始後も継続的な交換需要が期待できる。 


今後3年間で、世界では少なくとも20拠点の先端プロセス対応工場が新設される見通しである。1工場当たりのケミカルフィルター年間支出額を約3億~5億台湾ドルと試算すると、市場全体で約60億~100億台湾ドル規模のビジネス機会が見込まれる。 


こうした旺盛な需要は、YESIANGの業績にも反映されている。 


新工場の建設、先端パッケージングの生産能力拡大、再生型フィルターの導入加速を背景に、2026年上半期の売上高は前年同期比53.2%増となった。また、5月から7月までの各月の売上高は、いずれも前年同月比100%以上の増加を記録した。 


現在、YESIANGは台湾市場において、外気処理空調機(MAU)向けケミカルフィルターで80%以上、ファンフィルターユニット(FFU)向けで50%の市場シェアを有している。また、先端プロセス向け使い捨て型フィルターでは80%のシェアを確保している。 


新工場の建設に伴う需要は、すでに売上高全体の約30~40%を占めている。今後、新工場の量産開始と再生型フィルターの普及率向上に伴い、売上高および利益への貢献がさらに拡大し、中長期的な成長を支える重要な原動力になると期待されている。


独自技術と台湾国内の製造体制が競争優位性を確立――再生型フィルターが収益構造を変革


YESIANG 広報担当・シニアマネージャー 蔡呈佑


海外の大手メーカーとの競争が激化する中、YESIANGが主要顧客から継続的に受注を獲得できる理由は、台湾国内での製造体制と長年にわたり蓄積してきた研究開発力にある。 


蔡呈佑は、半導体製造ラインでは安定供給と異常発生時の迅速な対応が極めて重要であると指摘する。 


台湾国内での生産により、サプライチェーンの短縮と迅速な対応が可能となり、納期・コスト・品質・サービス(QCDS)の各面で顧客を即時にサポートできることが、YESIANGの重要な競争優位性となっている。 


技術面では、同社はすでに70種類以上のカスタマイズ可能な材料配合技術を蓄積している。 


独自開発したフィルターは、同等製品と比較して3倍以上の吸着容量を実現するほか、低圧力損失設計により、顧客設備の効率を30~50%向上させることが可能である。 


さらに、高温・高圧処理後も構造的な安定性を維持できる技術を備えており、材料配合から製品性能に至るまで、高い技術的参入障壁を構築している。 


YESIANGはフィルター性能の向上にとどまらず、独自技術を再生・循環利用へと発展させ、従来の「使用後に廃棄する」というケミカルフィルターの使い捨て型ビジネスモデルを変革している。 


現在、厚さ20cmおよび10cmの再生型ケミカルフィルターは、いずれも顧客によるR8再生検証に合格している。 


これは、同一フィルターを8回再生し、合計9回使用できることを意味し、競合他社のR5水準を上回るものである。 


また、社内研究所では40回以上の再生試験を完了しており、次の段階ではR11への挑戦を計画している。長期的には、再生回数に制限のない循環利用の実現を目標としている。 


再生技術の成熟に伴い、YESIANGはさらに、フィルターのサブスクリプション型サービス「CaaS(Chemical Filter as a Service)」を導入した。 


このモデルでは、再生型フィルターを固定資産として管理・償却し、従来の使い切り製品の販売から、継続的なサービス収益を生み出すビジネスモデルへと転換している。 


再生型フィルターは、原材料コストを約70~80%削減できるため、再生回数が増えるほど経済的メリットも拡大する。 


また、顧客のCO₂排出量を85%以上、廃棄物発生量を90%削減することが可能であり、経済性とESGの両面で価値を創出する。 


これにより、ケミカルフィルターは従来の消耗品から、経済的価値と環境価値を兼ね備えた「循環型資産」へと進化している。 


YESIANGは、継続的な回収・再生・サブスクリプションサービスを通じて、顧客との長期的なパートナーシップをさらに強化している。


液体用フィルターと半導体製造装置関連サービスへ進出――新たな成長エンジンを構築


YESIANGは、空気中の微量汚染物質制御に加え、3つの高付加価値事業を新たな成長エンジンとして推進している。 


具体的には、高性能液体用フィルター、半導体製造装置向けフィルター、設備の解体・設置および装置移設サービスである。 


これにより、従来の空気中の微量汚染物質制御から、気体・液体の統合的な汚染制御ソリューションへと事業領域を拡大している。 


なかでも、高性能液体用フィルターは次の重要な成長分野として位置付けられている。 


蔡呈佑によると、液体用フィルター市場の規模は、空気用ケミカルフィルター市場の3倍以上に達し、これまで主に海外の大手2社が市場を主導してきた。


YESIANGは2~3年にわたる独自研究開発を経て、台湾企業として初めて同市場への参入を実現した。 


2026年7月には、最初の試作品を顧客の工場設備システム向けに提出し、評価・検証を開始した。2026年末までに認証を完了し、2027年から売上高への貢献が始まることを目指している。 


一方、半導体プロセスの高度化と生産能力の拡大に伴い、製造装置の移設や生産ラインのアップグレード需要も増加している。 


こうした市場動向を受け、YESIANGは設備の解体・設置および装置移設サービスにも進出し、2026年4月には大手半導体顧客2社から、関連サービスの認証を取得した。 


エンジニアリングサービスを通じて製造現場への関与を深めることで、装置の稼働状況やフィルター需要をより正確に把握できるようになる。 


これは、将来的な製造装置向けフィルターや液体用フィルターの普及促進にもつながり、顧客との関係を一層強化する効果が期待される。 


空気用ケミカルフィルターから高性能液体用フィルター、製造装置向けフィルター、エンジニアリングサービスまで、YESIANGは製品・サービスのポートフォリオを着実に拡充している。 


今後、新規事業が順次収益貢献段階に入ることで、中長期的な成長をさらに後押しする見通しである。


再生能力の増強と海外展開を加速――台湾で培った成功モデルを世界へ


急速に拡大する市場需要に対応するため、YESIANGは台湾・台南市に「柳工工場」と「柳環工場」の2つの再生拠点を整備している。 


それぞれケミカルフィルターおよび活性炭ろ材の再生を担い、月間再生処理能力は3万~9万枚に達する。 


業界トップクラスの再生能力を有しており、現在の生産能力計画では、今後3~5年間における台湾の12インチウェーハ先端プロセス工場の増設需要に対応できる見込みである。 


また、地政学的な要因によって半導体サプライチェーンの現地化が加速する中、YESIANGはTSMCをはじめとする主要顧客の海外展開に合わせ、グローバル市場への進出を推進している。 


蔡呈佑によると、海外展開の第一段階では、米国アリゾナ州と日本・熊本県を重点地域としている。 


現地に事業拠点および倉庫を設置し、新品フィルターは台湾から供給する一方、各地域で安全在庫を確保する計画である。 これにより、台湾での製造優位性を維持しながら納期を短縮し、現地での技術サポートや異常発生時の迅速な対応を実現する。 


さらに、海外の半導体工場の生産規模が拡大した段階では、各国のESGおよびカーボンフットプリントに関する要求に対応するため、現地でのフィルター再生工場の設置も検討している。 


こうした取り組みを通じて、輸送距離を短縮した地域密着型のサプライチェーン構築を目指す。 


加えて、YESIANGは戦略的パートナーシップを通じて国際市場への展開を拡大している。 


中美晶(Sino-American Silicon Products)や崇越科技(TOPCO Scientific)などの販売・流通パートナーとの協力関係を深化させ、米国、日本、欧州、東南アジアにおけるIDM(垂直統合型半導体メーカー)および半導体製造工場への市場参入を加速している。


 収益成長と株主還元の両立を目指し、2027年第1四半期の株式上場を計画


YESIANG 広報担当・シニアマネージャー 蔡呈佑


次の成長段階に向けて、YESIANGは2026年10月に株式上場申請を行い、2027年第1四半期の上場を目指している。 

 

導体ウェーハ製造業と比較して、フィルター事業は生産能力拡大に必要な設備投資額が比較的小さいことから、同社は資本効率の高い事業運営を維持することが可能である。 


一方、利益率の高い再生型フィルターのサブスクリプションサービスについては、中長期的に売上高構成比50%以上を目指しており、事業全体の売上総利益率のさらなる向上が期待されている。 


低い設備投資負担と高利益率事業の拡大を両立することで、安定したキャッシュフローを確保し、新規事業や海外展開、将来的な事業拡大を支える財務基盤を強化していく方針である。 


蔡呈佑は、同社が内部統制と財務規律を継続的に徹底しており、財務諸表監査においても複数年にわたり無限定適正意見を取得していると説明する。 


上場後も安定的な配当政策を維持し、利益成長の成果を株主へ還元することで、企業規模の拡大と株主総利回り(TSR)の向上を両立させる考えである。 


先端半導体プロセスの需要拡大、再生型フィルターによる高収益ビジネスモデル、新規事業の開拓、そして海外市場への進出。 


これらを成長の原動力として、YESIANGは台湾を代表する半導体微量汚染制御ソリューション企業から、グローバルに展開する高付加価値の半導体環境制御サービスプロバイダーへと進化を続けている。